お客様の期待を数値化し共通言語化することで、本社と現場が納得できる改善が実現し、口コミサイトの評価が急上昇
今回はジェイゴルフ霞ヶ浦や都ゴルフ俱楽部など、全国12のゴルフ場をはじめ、愛犬と泊まれるホテル「レジーナリゾート」や温浴施設「おふろの王様」を運営する東京建物リゾート株式会社ゴルフ事業部の塚田部長にお話を伺いました。
調査だけでは本当にやるべきことは分からないまま
――「ファンくる」導入以前に抱えていた課題を教えてください。
塚田さん:コロナ禍で熱を帯びたゴルフ人気ですが、選ばれ続けるゴルフ場になるためには、どのように他社と差別化をしていくのかが課題としてありました。ゴルフ場は敷地面積が広くクラブハウスなどの施設も大きいため、なかなか設備投資を大胆に実施することが難しい。いまある施設を活かしそれぞれのゴルフ場の特徴を活かしながら、「顧客満足」を向上させることで、お客様にお支払いいただいた金額以上の価値を感じていただくことが必要だと感じていました。
最初は自社でNPSを使った調査から始めましたが、せっかくデータが収集できても良いか悪いかの判断がつかない、何をしたらNPSが向上するのか、検討がつかない状態でした。お客様からのご指摘を全て改善していくという、非効率な改善を続けていました。
そんな状況のなかで「ファンくる」を知り、半年間のトライアルをお願いしました。
――「ファンくる」を導入してみていかがですか?
塚田さん:これまでOTAサイト(ゴルフ場の予約ポータルサイト)の点数が業界内での一つの指標とされてきました。しかしその評価項目にはそもそもコースの距離や難易度など改善のしようがない項目も含まれているため、私たちの改善が評価の向上につながるのかはとても不明確でした。
しかし「ファンくるCR」を導入し各ゴルフ場の「再来店意思」や「推奨意思」、その他のスコアが見えてきたことによって、OTAでの評価のばらつきに対して、仮説が持てるようになってきました。何より大きかったのは、満足度に強く関係している項目が何かが明確になったことです。
満足度を高める最短ルートまで示してくれる「ファンくる」
――「ファンくる」の結果を見ていかがですか?
塚田さん:なんとなく「ここが悪い」と思っていたことが、はっきりと数値で出てきました。やはりそうかと納得しましたし、数値で表されることで個人の主観ではないことが確認できました。個人の経験と勘だけを頼りに改善しようとすると、「上司が言っているから改善しよう」となり、従業員の納得感はありません。それに加えて「ファンくるCR」は、なぜお客様がそれを良くないと評価するのか、おおよその原因まで特定できます。
単純に項目ごとのスコアだけを並べられても、各項目と満足度との因果関係が分からないと優先順位がつけられません。スコアが低い項目から改善しても、それが満足度へあまり影響しない項目であれば効果的とは言えないですし、時間もリソースも限られている中で効率的に結果を出しやすいのは非常に助かります。今後万が一満足度が下がることがあっても、どこを改善すれば戻るのかが分かるのでありがたいですね。数値を改善に活かすことができるところが、独自で行っていたNPSやOTAの評価との一番の違いだと思います。
――「ファンくる」の結果で予想外だったことはありますか?
塚田さん:コース状況やサービス、食事において思っていたより評価が高かったことですね。「これでいいんだ」と安心した反面、私たちが考えているよりもサービスとお客様の期待値との違いが大きい事に驚きました。業界の中にいる私たちは、常に自分たちの考える最良のものを目指すべきという思考になっていましたが、実はお客様の満足とはズレた思考になっていることに気がつきました。
――ゴルフ場スタッフの方々の反応はいかがですか?
塚田さん:社内で目指していたレベルとお客様が求めているレベルの差が分かったことで、取り組む優先順位や目指すべき目標をお客様目線で示すことができ、現場の従業員も納得して取り組めるようになったと思います。経営層も現場もお客様の声という共通の判断材料を得たことで、主観的にならずに同じ目線で考えられるようになったのは非常に良いことだと思っています。
満足度を高める最短ルートまで示してくれる「ファンくる」
――「ファンくる」を導入してから具体的に取り組まれたことを教えてください。
塚田さん:まずは社内で特に評価の上昇余地が大きいだろうと考えたゴルフ場の集中的改善に取り組みました。「ファンくる」を通して、そのゴルフ場はティーグラウンドと食事の評価が総合満足度への影響も大きいことが分かったので、その2つに絞り取り組みました。
ティーグラウンドの芝生を張り替え、食事については金額や味を変えずに、メニュー構成とメニューブックやお皿などの料理の魅せ方を変えた結果、3か月でOTAサイト(ゴルフ場の予約ポータルサイト)の評価が高級とされるゴルフ場と肩を並べるレベルにまで大幅に上がりました。さらに食事については取り組みを始めてから、若年層では評価の上がり方は緩やかでしたが、年齢層が高くなると急激に評価が上がっており、年齢層による感覚の違いも定量的に明らかになりました。
元々そのゴルフ場は「コストパフォーマンスが悪い」と評価されていると思い込み、料金を下げて運営していました。しかしコストパフォーマンスは価格ではなく、価格に体験が見合っているかどうかということが分かり、料金の値下げによる満足度の向上ではなく、改善による評価の向上に成功したことは大きかったです。
――取り組みの成果が予想以上に出たことについていかがですか?
塚田さん:この取り組みを通して、お客様が何に期待しているかを把握する大切さを知りました。お客様の期待と、その期待に応えるための構成要素、つまり総合満足度への影響が大きい項目がわかるので、スタッフが明確に自信を持って改善に取り組むことができました。
この結果を受けて、投資に対する考え方を見直すことも検討しています。取り組みを行った事業所に対しては、これまで修繕維持の投資しか考えていませんでしたが、評価の急上昇を目の当たりにし、正しい所に積極的な投資をすればしっかりと効果が出ることが証明されたと感じています。今までは投資対効果が明らかではなかったので、投資の意思決定に躊躇していたところもありました。
お客様の満足度が単価にも影響することが分かり、投資への説得力は大幅に増しています。「ファンくる」によって、価格だけで勝負することがない、お客様に選ばれるゴルフ場を運営し続けるために、経営判断にも自信を持てるようになると感じています。
――各ゴルフ場では「ファンくる」の結果はどのように共有されていますか?
塚田さん:「ファンくる」を導入する前からゴルフ場ごとに課題を話し合う機会を設けていますので、結果の共有は、基本的には各ゴルフ場の支配人に任せています。そこで「ファンくる」で吸い上げたネガティブな評価をどう改善するかを議論しているので、支配人以外のスタッフもある程度の状況は共有されていると思います。 アンケート結果の受け取り方、活かし方を誤らないためにも、パートやアルバイトの方々も含めた従業員全員が隅々まで結果を見られる運用は今後も考えていません。各ゴルフ場の幹部陣には確実に共有されている状態が望ましいのではないでしょうか。
お客様の声を使ったレベニューマネジメントを目指す
――今後どのように活用していきたいですか?
塚田さん:「ファンくる」を通してお客様の満足度を可視化し、ゴルフ場で提供できる様々なサービスから満足度を上げるために必要なものを取捨選択して磨きながら売り上げにも反映するのが最終目標です。すでに一部のゴルフ場では満足度と客単価を同時に上げることに成功していますし、今後も「ファンくる」を使ってお客様の声を吸い上げ、それを価格に反映できればと思います。
――「ファンくる」の導入を検討されている方にメッセージをお願いいたします。
塚田さん:自社の事業所がどのような立ち位置にいるのかが明確に分からない企業にはぴったりのサービスだと思います。ゴルフ業界について言えば、自社ゴルフ場の業界全体やエリアの中での立ち位置をOTAサイト(ゴルフ場の予約ポータルサイト)よりも深堀りして正確に把握できるので、ぜひ導入したほうが良いと思います。